突拍子もない長物の話から始まった
2019年頃、その話は始まった。
インテ79より、もっともっと長く出来ないか?
そうすればもっと飛ぶぞ!?
いっそ10ftとか15ftとか、もはや磯竿のレベルの長物の話である。
そんな事を開発担当と話した。
一体何を狙うんだ??と聞かれた時は「いや、何だろね…飛ばしてしまえば、なんか判らんもんも釣れるかもしれんね…イサキとかさぁw」
という突拍子もない話をしていた。
難しくなるフィールドを穿つ打開策
このころからだったと思うのだけど、いつもより魚が釣れなくなった、と感じていた。
いや、『近距離の魚が減った…?』のだろうか…磯焼けだ、コロナ渦の釣りブームなどの影響でフィールドのプレッシャーはどんどん高くなる。
インテ79の射程では、魚にギリギリしか届かないなんて事もあった。
そんな時にローワーやクローラなら届く、だがinteのような繊細な取り回しや操作はしにくい、ならばやはり超長物インテが必要だ!!
そうして始まったロングなインテの開発。
当初はUL表記で始めたが途中でLに切り替えた。
インテにLがあったって良いじゃないかと(笑)
軽量プラグの遠投を可能にした、しかし問題が、、、
軽量プラグの遠投はすぐ決まった。
普段から使っているメバルルアーはよりカッ飛ぶ。
2.5gから20g位の遠投力は凄まじかった。
メバルより強力なタケノコすらも引っこ抜くパワーもあったのだが、ここで実はけっつまづいたw
プラグの遠投は簡単だけど、キャロ、フロートと言った空気抵抗の塊が投げにくい!!
リリース直後の初速を上げれば飛ぶというモンではないのだ、この上記二つのリグは。
シンカーは飛ぼうとするが、リーダーがそこにブレーキを掛ける。
そのバックラ特性に難儀した…
リールの進化で化けたinte9.8L
結局、それを解決したのはリールの性能だった。
それまでの年代のフィネス系リールでは、そもそもブレーキ性能が足りなかったのだ…
ブランクスを更新し、リールも替えた瞬間、『Beams inte98L』は化けたのである…
それまではライトバーサタイルと呼ばれたリールの性能が上がった恩恵で、フィネスリールでなくても2~5gが投げられて、更に上のクラスも制御が出来る。
ライトプラグやキャロフロートどころか、2gを扱える長物で20gのメタルジグまでぶっ飛ばす、何がなんだか判らない、得体のしれない底力を持ったのである
0.8号のPEラインで20gのメタルを全力キャストしても高切れせず、中型回遊魚まで磯竿のような曲がりでいなして寄せる。
かつて磯竿シーバスというカテゴリーがあったのだけど、それをベイトタックルで構築してしまったのである!
細糸の扱いに長け、軽量ルアーを今まで以上にカッ飛ばし、掛けた魚はしだれ柳のように絡めとる。
これは正に磯竿テイスト。
だけどこのロッド、あくまでインテシリーズであるからして感度もちゃんと乗せなきゃならない。
ボトムを取る、繊細なバイトを拾って掛ける、アングラーが拾えなかったバイトはロッドが掛けておいてくれる。
7gシンカーで底を探ってロックフィッシュを食わせ、細糸を切らせずの全力リフトで引きはがす、そんな事はお手の物。
その耐ラインブレイク性能は当然シーバスにだって応用出来る。
大場所で軽量ルアーを可能な限りの遠投をして、掛けたシーバスはいなして寄せる。
パワーでどうこうではない、アングラーの技量でロッドを活かす!
メバルプラグからシーバスルアー、シンカー付きのワームにメダルジグ、それこそサイズによるけどノーシンカーワームですら扱える。
9.8フィートのレングスは、ロングリーダーのキャロフロートの扱いを容易にする。
フィネスバーサタイルからスタートしたインテシリーズ中、最長レングスにして最強のパワー、そして最大のベンドカーブを持つ繊細かつ異形のバケモノ!!
『Beams inte9.8L(ビームスインテ)』
足掛け6年の開発を経て遂に解き放たれる!!
筆者:プロテスター西村均